シャドウランの世界

背中に気をつけろ。
ためらわず撃て。
弾を切らすな。

ドラゴンには絶対、関わるな。

――ストリートの警句


舞台は2070年。状況はまだまだ止まらない。

世紀の変わり目から、世界は想像も及ばない方向に変わった。宇宙の神秘的なエネルギーは確実に力を高め、集中させていき、ついには、魔法をこの世界に戻してしまった。いわゆる〈覚醒〉である。エルフとドワーフ、オークとトロールは、ヒトの姿を脱ぎ捨て、彼らの本来の姿を取り戻した。野生動物たちさえもその姿を神話と伝説の獣に変えていった。さまざまな魔術が現実のものとなり、それを実践する魔法使いたちは新しい世界で居場所を切り拓いている。

世界を覆う巨大なコンピュータ・ネットワークは不可解なコンピュータ・ウイルスによる攻撃で崩壊した。ドラゴンが空に舞った。疫病と飢饉が世界の人口を激減させた。新しく覚醒した種族と、残された人類との衝突がそこら中で起こった。すべての権力中枢は崩落し、そして、世界は奈落の底に向かってまっさかさまに落ちていった。

しかし、人類とその仲間たちは、しぶとい生き物である。荒廃と混沌から、脆いながらも新しい社会秩序が、ゆっくりと誕生した。

超巨大企業(メガコーポ)群が新世界の覇権を握り、自分たちを世界の掟とした。地球上のあらゆる場所で、企業の言葉が標準になった。新円(ニュー・イェン)は世界的な基準通 貨になり、世界最高の裁判所はいまや、トップ10の巨大企業によって成り立つ企業法廷である。

メガコーポたちは命がけのゲームを続け、そして、少しでも優位に立つために、影の手駒を雇うようになった。

テクノロジーもまた、人々を変えた。もはや肉体という制限に満足する必要はない。多くの人々はサイバーウェアによって自身を人工的に強化する道を選んだ。より強く、より速く、より賢く。

より自然な強化を好む者もいた。彼らは医療用培養槽で育てられた強化臓器に目をつけた。バイオウェアだ。

また、ある者は、パワフルな装着型コンピュータ機器に道を見出し、光学チップや強化タイヤが自分自身の身体の一部であるかのように、コンピュータ・ネットワークや車両を操作するようになった。

万事が金という2070年の厳しい現実の中では、都市が大きいほど、影は深い。巨大な企業構造の隙間に、あらゆる影の犯罪が住みついている。メガコーポが危ない橋を渡る必要があり、かつ手を汚したくないとき、彼らはそれを任せられる唯一の人種を頼る。

シャドウランナー、それはいつでも関与を否定できる存在。政府や会社のデータベースのうちで最もヤバいものの中にさえ、会社とシャドウランナーの関係は登録されていないが、彼らのサービスへの需要は高い。

ハッカーは巨大な会社のデータベース中に音もなく忍び込み、本当に価値ある唯一のもの――情報だ――を盗み出す。ストリート・サムライは、戦闘技術と強化された反射神経による究極の捕食者として雇われる執行人だ。

リガーは、さまざまな目的に特化した車両(ヴィークル)や無人機(ドローン)を操ることができる。

現在の地球を包む不思議なエネルギーを操作する、稀有な才能を持つ魔法使いたちは、競争相手をスパイし、敵に対して呪文を浴びせかけ、魔法的な破壊活動を行なうなど、雇い主が夢想するありとあらゆる目的に使えるので、引く手あまたなのだ。

こうした者たちは皆、生き延びるために腕前を売り、危険すぎて誰も引き受けようとしない仕事を請け負う。その多くは違法であり、いかがわしい仕事ばかりだ。

友よ、暗黒の未来にようこそ。こいつは、とんでもない旅になりそうだ。